右も左も、上も下も分からない

治療していて不思議だなと思うことがあります。

「咬んで、顎を右に動かして下さい」というと左に動かす。

「左に動かして下さい」と言うと右に動かしちゃう人がたくさんいる事です。

下顎が動くのだと認識していないのです。顎は顎関節を支点としてぶら下がって

いるブランコのような形態です。それを動かして下さいと言ってるんだけど頭の

中では上顎が動くように思うんだろうね。大の大人が右も左も分からないのかと

時々吹き出したくなります。


「先生、左上の奥から2番目の歯が痛いんですけど」と痛い歯ご指定でいらっしゃる

患者さんがいます。でも実は虫歯の痛みは上下の区別がつかないのが普通なのです。

噛んで痛いとかその場所に水や風を送って診断することはできますが、刺激なしに

どの歯が痛いかは分からない構造になっているのです。わかる方が不思議なのです。

上顎神経も下顎神経も三叉神経節という中継点で一緒になって脳に知覚されるので

分からないんですよね。そこで、歯痛の場所を間違える患者さんが多いのです。

患者さんご指定の歯ではなく上下逆の歯を治療して不思議に痛みが取れちゃうことが

案外多いんですよ。威張って痛い歯のご指定はなるべくご遠慮下さい(笑)