しばらく、ブログの更新をサボってしまいました。
公私ともに多忙だったので、申し訳ありませんでした。
テレビでよく総入れ歯安定剤を宣伝しています。
なかには総入れ歯安定剤は総義歯に必須のものだと思っている人もいるようです。
歯が何本かある人は総入れ歯はどんなものか想像できないでしょう。また、想像
していても、きっと現実はまったく違うものでしょう。だって、システムが全然
違うのですから。部分入れ歯は残っている歯で維持するものなので動きは自分の
歯の動きに連動します。したがって動きはミクロン単位です。しかし総入れ歯は
粘膜の上に乗っているだけなので押せば沈むし揺らせば揺れます。動きはミリ単位
です。フラフラするものを安定させるには、いろいろな要因を制御しないとなり
ません。部分入れ歯は残っている自分の歯で咬んだ感覚がありますが、総義歯では
噛みごたえがありません。
歯医者は総義歯を作るとき、そのまま入れればぴったり合って落ちないように
作ります。抑える歯がないのにどうしてくっつくのか不思議ですよね。例えて
言えば水に濡らしたガラスどうしをくっつけると離れないのと似ています。
辺縁のシールができないとぱかっと落ちてしまいます。そうならないように日々
努力しているのですが、歯茎の状態によっては大変困難な場合もあり、患者さん
は総入れ歯安定剤を使いたくなってしまう場合もあるようです。
止むを得ず安定剤を使うときの注意点をお話ししたいと思います。
使わないのが一番ではありますが、どうしてもダメなときは、
粉末タイプの義歯安定剤を使って下さい。
歯科医が許容できるのはここまでです。
ペースト状の(糊のようなもの)安定剤は
歯科医の与えた噛み合わせを阻害します。くっつく力は強いかもしれませんが
出来れば使ってほしくありません。ペーストタイプの安定剤を使わないといけない
とすれば、近いうちにその義歯は作り直すべきでしょう。
シートタイプの安定剤もあります。
これはさらに噛み合わせがおかしくなってしまいます。どうにもガタガタ
してしまうような義歯にしか使ってはいけません。
安定剤を使わなくてもぴったり合って外れずに何でも咬める入れ歯を目指して
努力していきたいと思います。義歯は難しい。でも、面白い治療なのです。