ディテイルとは細部のことです。物事を突き詰めていくと細部に行き着く。
逆に言えばどのような集合体であろうと細部の積み重ねで出来ているのです。
例えば人間は60兆個の細胞から出来ています。その細胞の中には遺伝子が含まれて
います。アデニン、グアニン、チミン、シトシンと呼ばれる塩基の組み合わせから
なる遺伝子は2万4千種類あると言われています。そして、その遺伝子が作り出す
タンパク質は20万種類あると言われています。その20万種類のタンパクから人間の
身体はできているのです。元を正せばアデニンA,グアニンG,チミンT、シトシンCと
いう物質であり、さらに細部にいけば分子であり原子であり、原子は原子核と電子で
できてて、その原子核は陽子と中性子で、その陽子と中性子は3個のクオークで
出来ていて、他に物質を構成するのは電子やニュートリノのようなレプトンと
エネルギー伝達する役割のフォトンなどのボゾンという素粒子から成っています。
それだけでは宇宙の全質量に全然足りず、暗黒物質と暗黒エネルギーなどがあると
言われています。その先はと進むと途方に暮れてしまいますが、外に大宇宙がある
のと同じようにミクロの世界にも限りない宇宙があるかのようです。
こう考えていくと自然に哲学的に宗教的になってしまいますが、私はその解決は
仏教の般若心経にある色即是空空即是色ということになるのではないかと思います
空から有が生まれるのです。そこは神の世界なんでしょう。
ディテイルについて話し過ぎました。ここで話は卑近な例になります。
歯科の治療もディテイルの積み重ねで成否が決まります。根の治療を手抜きすれば
必ず何年か後に根尖病巣を再発します。そこが出来てなければどれだけその後の治療
がよくできていても無に帰してしまいます。
セメントを練る、印象材を練る、石膏を注ぐ、などどの操作においても基本は分量を
守ることです。これがディテイルです。そこを蔑ろにしたら正確な補綴物は出来ません。そのような基本を疎かにする人を私は信じません。基本に忠実に仕事をすること
常に心がけて正しい治療をしていきたいと思っています。